ブルーム・ブックカフェ

2年のひきこもりから目覚めて、急速な変化を実感中なブルームの、人生が花開いていく軌跡。

おすすめ作品紹介①〰『説得』(ジェイン・オースティン)〰

 ときどき、わたしが読んだ作品の中でもおすすめのものを紹介していこうと思います。

 

 初回はイギリスの作家ジェイン・オースティン最晩年の小説「説得」について紹介します。

説得 (ちくま文庫)

 

「説得」 ジェイン・オースティン

 

 准男爵家の次女アン・エリオットは、8年前、海軍軍人のウェントワース大佐(当時は中佐)と恋に落ち、結婚の約束をしました。しかし母親代わりで伯母のラッセル夫人は、彼の貧しさと、それに見合わない楽天的で自信に満ちた態度を危惧します。夫人はアンの将来のために彼女を「説得」し、アンは結婚をあきらめました。

この別離はアンの心に影を落とし、彼女はやつれ、8年前の美貌も色あせてしまっています。アンは独身のまま27歳になり、独立財産を持った立派な男性との結婚が難しくなりつつあると思われましたが、そこで予期せぬ再会が。

 

 本作はほかのオースティン作品同様、アッパーミドルの女性たちの恋愛と結婚がテーマとなっています。ヒロインが傷を負った状態で物語が開始するため、笑いの要素はオースティン作品の中でも控えめです。とはいえ恒例のおもしろおかしい人物たちは、主にアンの家族としてちゃんと登場しますのでご心配なく。

 虚栄心ばかり強くて准男爵位と自らの美貌がご自慢の父親サー・ウォルター、父にそっくりな長女エリザベス、ひがみ屋で、なにかと自分だけ除け者にされたと騒ぎだしては周囲をふりまわす三女メアリー。ラッセル夫人が支えてくれなかったらこの家族は一体どうなっていたことでしょうか。

 

 ヒロインのアンは地味で影が薄く、家族からの扱いもあまりよくありません。しかしやさしく思いやりに満ち、知性的です。アンは洗練された女性で、節度にかけた行動は全くありません。ところが内心では、ウェントワース大佐の言動一つ一つに心を乱され、ゆり動かされる場面もあり、それがまたかわいらしいです。アンは私が好きなヒロインのひとりです。

 

 決して表に出さないけれど、哀愁を帯びながらもやさしさのこもった愛情が繊細に描かれた小説です。アンが感じ入っている場面では、そんなアンの様子・描写にわたしが感動してしまうぐらいでした。アンの心の動き、恋心そのものに恋してしまうような感覚でした。アンとアンの恋心にすっかり夢中になり、お気に入りの一冊になりました。

 この本を最初におすすめさせていただきます。

 

 よろしければ「説得」を手にとってみてください。

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